「ほうれい線」は1種類ではない
表情筋・脂肪・真皮の3層で
読み解く口元の老け見え
韓国みにょんクリニック | 医師監修コラム
「ヒアルロン酸を入れたのに、笑うとほうれい線が出る」「溝は浅くなったのに、口横がもたついて余計に老けて見える」——こうしたお悩みでご相談に来られる方は少なくありません。実は、ひと括りに「ほうれい線」と呼ばれているシワの中には、原因も層もまったく違う複数の種類が混在しており、それぞれに合ったアプローチが必要です。このコラムでは、韓国美容の最前線で重視されている 美肌建築(Skin Architecture)理論 をベースに、解剖学的な視点から口元のシワを整理します。
前提:顔は1日中「動き続けている」構造物です
ほうれい線を理解するうえで、まず押さえておきたい前提があります。それは、顔は静止画ではなく、起きている間ずっと動き続けている構造物だということです。私たちは笑い、話し、食べ、表情を作る——朝起きてから寝るまで、口元の筋肉は休みなく動いています。
その動きを支えているのが、皮膚の下にある以下の3層構造です。
真皮層
ハリと弾力を担う層。ゴムのように伸び縮みを繰り返している。加齢でコラーゲンが減ると薄くなり(菲薄化)、伸びても元に戻りにくくなる。
脂肪層
クッションと立体感を担う層。時間と共に重力で下垂しやすく、量も減っていく。「ほうれい線の溝」は、ここの位置変化が大きく関わっている。
表情筋
動きの原動力。口輪筋や頬筋などが、笑う・話す・食べる動作を作り出す。基本的に加齢で衰えにくく、生涯動き続ける。
筋肉が動くたびに、その上の脂肪と皮膚は寄せられ、引き伸ばされ、また戻る——この動作が一生繰り返されます。そして加齢とともに、筋肉は動き続け/脂肪は下垂し/皮膚は伸びきる。この3層の変化が違う形で組み合わさるため、ほうれい線は人によって、また同じ人でも部位によって、まったく違う「正体」を持つようになります。
無表情のほうれい線と、笑った時のほうれい線は別ジャンルです
カウンセリングで最初にお伝えする最も重要なポイントが、これです。無表情の時に見えるほうれい線と、笑った時に出るほうれい線は、原因も治療方針もまったく違います。
無表情時のほうれい線
静止状態で正面から見たときに見える「溝」。主因は頬の脂肪の下垂・ボリュームロス。皮膚自体は比較的健康なことも多く、溝を埋める発想(深い層への補充)が向く場合がある。
笑った時のほうれい線
笑うと頬の筋肉が上に動き、脂肪と皮膚が一気に寄せられる。このとき皮膚自体が伸びきっていて余っていると、行き場を失った皮膚がたわんでシワになる。真皮をターゲットにした治療が必要。
笑顔時のほうれい線にヒアルロン酸を入れても、皮膚の余りが解消されないまま土台だけが持ち上がるため、笑うと不自然にもたついたり、「膨らんだだけで老け見えは変わらない」という結果になりやすいことがあります。溝のシワなのか、皮膚の余りのシワなのか——ここの見極めが、治療の成功と失敗を分けます。
ほうれい線まわりに存在する「種類」を整理する
ほうれい線の周辺には、深さも層も違う複数の悩みが重なって存在しています。多くの方が「ほうれい線」と呼んでいるものの中には、実は別ジャンルのシワが混ざっているのです。
本来のほうれい線(無表情時の溝)
笑顔時に出るほうれい線
ほうれい線の枝分かれ
唇の真横の皮膚の折りたたみ
口横ドレープしわ・口横の影
「ほうれい線が治らない」と悩んでいる方の多くは、実は主病変が TYPE 02〜05 にあるケースが少なくありません。だからこそ、TYPE 01(本来のほうれい線)に効くアプローチを当てはめても変化を感じにくいのです。
解剖学的な事実:ほうれい線の真下は「医療安全上の制約」がある領域です
ここからは、安全性の話です。ほうれい線まわりは、顔の中でも特に重要な血管と神経が走行している領域として知られています。
ほうれい線まわりを通る主要な血管・神経
- 顔面動脈(Facial artery):顔の主要な血液供給を担う動脈。ほうれい線に近接して走行し、走行ルートには個人差があり、ほうれい線の内側を走るタイプ・外側を走るタイプ・横切るタイプが報告されている。
- 角動脈(Angular artery):顔面動脈の終枝。鼻翼基部付近で表層を走行し、目の周囲の血管系とつながる。
- 眼窩下動脈(Infraorbital artery):眼窩下孔から出て、ほうれい線上部の表層を走行する。
- 眼窩下神経(Infraorbital nerve):三叉神経第2枝の終枝。眼窩下孔から出て、上口唇・頬・鼻翼の知覚を支配する。
- 顔面神経頬筋枝(Buccal branch of facial nerve):口輪筋など口元の表情筋を動かす運動神経。
この領域は、ヒアルロン酸注入における重大な合併症(血管塞栓・皮膚壊死など)が報告されている代表的な部位の1つでもあります。そのため、ほうれい線まわりの治療は、「どの深さに」「どの器具で」「どの量を」入れるかを、解剖学的に安全な層を選んで設計する必要があります。
言い換えれば、解剖学的な事実があるからこそ、選べる施術や手技には医療安全上の制約があるということです。「とりあえずヒアルロン酸を多めに」という発想は、解剖学的にも、仕上がりの観点からも推奨されません。
当院の考え方:韓国美容 × 美肌建築(Skin Architecture)理論
韓国美容の最前線では、もはや「埋める」だけの治療は古いとされ、現在の主流は「層別アプローチ(Layered approach)」です。当院が採用している美肌建築(Skin Architecture)理論は、この考え方をベースにしています。
どの層が・どんな形で壊れているのかを見極め、その層に合った治療を組み合わせる——これが美肌建築理論の核です。
ほうれい線まわりに対する具体的な発想は次のとおりです。
真皮の「余り・引き締まり不足」には、引き締めで対応する
真皮層(約1.5〜2mm)に超音波エネルギーを届け、伸びきった皮膚を収縮・引き締めるアプローチ。当院ではソフウェーブをこの位置づけで使用しています。笑顔時のほうれい線・枝分かれ・口横ドレープしわなど、真皮主体の悩みに対して有効なことがあります。
真皮の「菲薄化」には、補充で対応する
薄くなった真皮に成分を直接補充し、皮膚の厚み・弾力の回復を目的とした治療。当院ではエラビエ リトゥオー(Re2O)をこの位置づけで使用しています。引き締めで余りを縮めた後に補充することで、より自然で持続しやすい変化を目指します。
脂肪層・支持組織の問題は、別軸で考える
本来のほうれい線(TYPE 01)のように脂肪の下垂・ボリュームロスが主因の場合は、適応に応じて深い層の補充やリフトの発想を組み合わせます。一律ではなく、その方の主病変に合わせて設計します。
すべての方に同じ治療が適応するわけではありません。皮膚の厚み・余り・脂肪量・骨格・既往治療歴によって、優先すべきアプローチは変わります。適応・順序・回数は、診察で個別に判断します。
こんな方は、まず「層と種類の見極め」をおすすめします
- ヒアルロン酸を繰り返したのに、口元がもたつく・自然に見えない
- 無表情では気にならないが、笑うとほうれい線が深く出る
- ほうれい線の脇に、枝分かれするような細いシワが出てきた
- 口の真横に折り目のような段差が出てきた
- 正面から見ると、口横が影に沈んで老け見えする
- 「疲れて見える」「不機嫌そうに見える」と言われるようになった
- 韓国美容で話題の「層別アプローチ」「皮膚補充」を検討している
よくあるご質問(FAQ)
まとめ:「ほうれい線」という言葉が、あなたの治療を遠回りにしているかもしれません
ほうれい線は1種類ではありません。表情筋・脂肪・真皮という3層が動き続けるなかで、複数の種類のシワが重なって生まれます。無表情の溝、笑顔時の皮膚の余り、枝分かれ、唇真横の折りたたみ、口横ドレープしわと口横の影——それぞれ主病変の層が違い、治療の方向性も変わります。
そして、ほうれい線の真下には顔面動脈や眼窩下神経などが走行しているため、施術には医療安全上の設計が必要です。だからこそ、「とりあえず埋める」ではなく、層と種類を見極めてから設計する——これが、韓国美容の最前線で重視されている美肌建築理論の発想です。
「なんとなく口元が老けて見える」「ほうれい線治療をしたのに違和感がある」と感じているなら、まずはご自身のシワがどの種類なのかを整理することからスタートしませんか。気になる写真をスクリーンショットしてLINEでお送りいただくとスムーズです。
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本コラムは美容医療の一般的な情報提供を目的としており、診断・治療の確約ではありません。記載の解剖学的事実は一般的な傾向であり、走行・分布には個人差があります。治療の適応・内容・リスク・副作用・費用は個人により異なります。必ず事前に医師とご相談ください。個人の感想は効果を保証するものではありません。
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